2012年01月20日

読書日録 1


昨年から、職場の帰り道、朝倉のブやK書店古書部が近く、けっこう頻繁にのぞいていました。

新刊の大きな本屋が、高知では少なく、「掘り出しもの」的な本は、ブで探すほうが面白い。

新刊本は本屋をのぞいたり、新聞や雑誌の書評、カタログで目を付けて購入しますが、正直、あまり買ってまで読みたい本は少ない。

また、教師時代に比べ、収入が激減し、おまけに「車」に乗り出したため、その費用もばかにならず、3千円を超える「新刊本」は、なかなか買うのに勇気がいります。

それに、もうすぐ60歳、「生きているうちに、これは読んでおこうか、どうしようか?」という、「判断」も入ってくるようになりました。それでなくても、「読みくさし」や「ツン読」の本が五万とあります。新刊書の棚の前に立つと、「買うより、今ある本を読め!」とのささやきが聞こえてきます。

まあ、死ぬまでに、どう頑張っても、あと3千冊も読めないでしょう。
「君は本を友として幸せだったか?」「本に代わる喜びはあったのか、なかったのか?」と問われたら、どう答えるか?

岩波『世界』2月号、連載『未完の戦時下抵抗』(田中伸尚)始まる。第1回は「屈せざる人 細川嘉六」、
田中さんの『大逆事件・百年の道ゆき』は『世界』に連載された後、加筆され刊行されました。連載中から、ずっと欠かさず読みましたが、これは良かった。今度もどんな連載になるか、学者の本を読むよりオモシロイ。

連載第1回が細川嘉六とは驚き。
学生時代、高知の戦前の社会・労働運動を調べるため、当時、品川にあった「大原社会問題研究所」に通いましたが、古い、ビラに交じって、細川嘉六収集の資料を見たのが、この人を知った初めでした。

基本文献『米騒動の研究』(全5巻 有斐閣 1961)所収の資料は、ほとんど細川が集めたもの。富山から起こったこの騒動が、高知にも波及して、騒ぎがあったことがわかります。高知の生んだ歴史学者、井上清先生たちの共同研究です。

2005年、日本自費出版文化賞大賞をもらった『米騒動の理論的研究』(富山県 紙谷信雄著)は、地元で地を這う緻密な研究が、大きく評価されました。紙谷さんに連絡を取り、著書を譲っていただきましたが、手紙と電話で熱心に米騒動について教えてくれました。

この2つの著書に基づき、僕も5年ほど前、自由民権記念館の特別展「戦前期 高知の社会労働運動」の資料集に「高知の米騒動」として書きました。

1月15日(日)、Eテレ「日本人は何を考えてきたのか(第2回) 自由民権 東北で始まる」を見る。
案内役の菅原文太さんは、昨年、高知に来て、番組にも出ていた公文豪さん(高知近代史研究会会長)と県内を回ったとのこと。民権記念館に移築保存した植木枝盛の書斎も紹介されていました。河野広中など、東北の民権家たちは、土佐に来て植木から学びました。

ゲストには、色川大吉先生も登場。先生、元気そのもの。やっぱり「金髪」?でした。

僕たちの学生時代は、日本近代史、特に自由民権期の研究は全盛でしたし、「色川民衆史観」は、新鮮な驚きでした。しかしながら、その後、この時代の研究は、火が消えたように、細り、話題とはなりません。卒論で自由民権を取り上げる学生も、ほとんどいないらしい。

自由民権の「地下水」を汲み上げたものが現在の「日本国憲法」。「歴史」から学べば、「押しつけ憲法」という考え方が、いかに根拠の無いものか。

今回の『世界』への連載といい、このEテレ番組といい、わかっていても、声高く叫ばれてこなかった「史実」に目が向けられてきた・・・そんな気がします。
こうした番組の取り上げ方は、「3,11」以後、ひとの生き方を含めて、日本の大きな「方向転換」を求めてなのか、「一過性」でないことを祈ります。
1月16日 朝刊報道
辺見庸の詩集『眼の海』(毎日新聞社)が高見順賞受賞。この人の本は、出るたびに読んできました。
最近は「作家」というより、社会への、鋭い問いかけが目立ちます。目を離せない「発言者」だと思います。

新年早々、本屋で「詩集」を見つけて購入。「詩人」でもあることに驚きました。
辺見は震災・津波の被災地、石巻の出身とのこと。


  死者にことばをあてがえ

わたしの死者ひとりびとりの肺に
ことなる それだけの歌をあてがえ
死者の唇ひとつひとつに
他とことなる それだけしかないことばを吸わせよ
類化しない 統べない かれやかのじょだけのことばを
百年かけて
海とその翳から掬え
砂いっぱいの死者にどうかことばをあてがえ
水いっぱいの死者はそれまでどうか眠りにおちるな
石いっぱいの死者はそれまでどうか語れ
夜ふけの浜辺にあおむいて
わたしの死者よ
どうかひとりでうたえ
浜菊はまだ咲くな
畔唐菜はまだ悼むな
わたしの死者ひとりびとりの肺に
ことなる それだけのふさわしいことばが
あてがわれるまで



写真は
Eテレ番組での色川大吉さん
『米騒動の理論的研究』紙谷信雄著、
200部限定出版2004年 日本自費出版文化賞大賞受賞

P1010911_R.JPG

P1010929_R.JPG


お詫び:店主のメール見落としによりこの稿アップが遅れました。
ありがちなこととは言えすまん。


posted by うんちくウメッチ at 11:58| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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