この1月から、高知市教育委員会のやる「朝倉チャレンジ塾」を手伝っています。
経済的に街の「塾」に行くことができない中学生を、週2日、夜7時から2時間、補充的な勉強の面倒を見ています。秋から始まり、市内5か所で開かれているようです。
中学3年生の参加もあり、この2カ月は高校受験に向けて、社会科の「特訓」でした。
受験生は意欲的な子どもが多く、全員、前期入試で希望の高校に合格、今は1、2年生中心の補習です。
「行政」が、「塾」と名付けて、無料で補習をすることに、高知の深刻な「低学力」の実態が現れています。
「そこまでしなければならないのか」という、思いもしますが、基礎がわからず、そのことが、すべての教科に影響し、「学びからの逃避」が、行政も「放置」できない、高知の教育実態です。
県民平均所得、200万円に足るか、足らないかという経済状況では、街の有料の「塾」にはやることができず、「貧困」が「低学力」に直結する、いやな世の中です。
しかし、フルタイムで仕事をし、週2回も夜間に教えることは、少々,しんどいです。やっぱり、「歳」ですし、正直、身体を休めたい。
春からは、今の仕事内容が変わりそうですので、この手伝いも3月末までにしようかと考えています。
1月からは、3回、「朝倉三町解放子ども会」の小中学生に、「差別の歴史」や3月3日が「全国水平社結成90周年」にあたることから、水平社がどうして結成されたか、子どもたちを指導してきました。
「差別の歴史」学習では、司修さんの傑作『河原にできた中世のまち』(岩波書店1988年)を使い、中世の「けがれ」や「河原者」について、学びました。
従来の江戸時代の「身分制度」から「差別」を考えることだけでは不十分だと、以前から考えていたことの反省です。
獅子ヶ谷書林の店主も評価しているように、この『河原にできた中世のまち』は歴史絵本(?)として、よくできています。これを超える絵本は、まだ知りません。
網野善彦さんが、中世の姿を書き、それに基づき、司修さんがよく、「絵本」として取り入れていると思います。
授業では、絵本の一部を、カラーコピーし、こどもたちに持たせ、何が描かれているか、こどもたちに問いかけながら、授業を進めてみました。
この絵本は、1989年に「産経児童出版文化賞」をもらったように、網野さんの、確かな歴史を見る眼で、司修さんの「画」が光ります。20年以上前の「絵本」で、すでに絶版になっていますが、この本はぜひ再刊してほしい。
この3月3日は、「全国水平社」結成90周年です。この日は僕の勤める施設に、大きな「水平社宣言」を外壁に張る予定。この手書きの「宣言」は「識字学級」で学んだ「おとな」が書いたもの。
「差別」や「貧困」ゆえ、学校に満足に行くことができなかった、6、70代の人々もいます。昔の「識字学級」は、明治、大正生まれが中心でしたが、現在は昭和世代が中心です。
今は「学校」へ行って、補習的な「チャレンジ塾」まで、保証される時代となりました。
「差別」や「貧困」から、「学び」から見捨てられた昔とは違っています。
「チャレンジ塾」は、課題や改善点は多いですが、「福祉」と「教育」が連携する、こうした「学力保障」は、継続して続けるべきでしょう。
写真は「識字学級」生による「水平社宣言」 歴史を旅する絵本 『河原にできた中世のまち』(1988岩波書店) から


posted by うんちくウメッチ at 22:52|
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